それから1ケ月後に予感どうりに退職してしまった私。仕事を辞めても、朝早くに目が覚めてしまう。「チコ、私これからどうしたらよかとね?」愛犬は何もいわない。ふとあの夜の占いのおばあさんの言葉を思い出す。「まっ、何もすることもないけんね。占いの勉強でもした方がいいとかいな?あ~。やっぱりいかん。ありえんけんね!」とため息。そのときだった、辞めたホテルの後輩、竜馬から携帯に連絡が入る。それで、暇な私は誘われるままに夕食の約束をした。竜馬がたずねる「アキ先輩これからどうするんですか?」私は少し落ち込んだ様子で「ん~。分かんないよ。」竜馬は「そっか。そうですよね~。今はまだね、ダメですよね。もし何かあれば僕が相談にのりますから。何でも言って下さい。」私は「うん、ありがとう。そうするよ。」お礼を言い、目に少し涙をためる。今日はお互い用事もないが、食事を終わらせ早々と解散した。それから2~3日たった頃、夕飯の材料を調達に近所のスーパーまで行くことにした。仕事してないから、自炊頑張るしかないものね。その帰り道、見たこともない喫茶店の前を通り過ぎようようとする。そのとき突然、とても香ばしいコーヒー色の風が私の鼻孔をくすぐる。私は何がなんでもコーヒーが一番大好き人間。今まで職場と家の往復だけの生活のため、こんな店があった事には、気が付かなかった。店の外見は奇妙で不思議な印象。なので、少し迷ってしまう。けれど、すごく喉が渇いて、休憩したかったので、勇気を出して中に入ってみる。まず目についた奥のテーブル。その又一番奥の片隅に誰かコーヒーを飲んでいる。貧相な老人が一人座っておいしそうにコーヒカップを口に運んでいる。どうゆうわけか、老人のテーブルには広げられたカードが見えるだけ。「あ~。失敗。変な人がおるけん!」心の悲鳴。私はとりあえずカウンターを見る。優しそうなマスターらしき男性がいたので、今度はほっとして、その男性の真正面席に座った。コーヒーを注文しようと思い周りをキョロキョロしてみると、店のなかには本当に老人以外、誰もいないようだ。ほかの店にすれば良かったと後悔したが、私はその老人がとても気になってしまい、どうしてもちらちら見てしまうのだ。【どう考えても怪しい老人だよ。】私の悪い癖が出てきたらしい。いつもの好奇心をくすぐる何かに出会ってしまったようだ。コーヒーが運ばれてからも気になるけれど、なるだけみないようにしていた。その後に、マスターと色々と世間話しをするようになって、安心したのでそっと聞いてみることにした。ここは、私の経験である接客関係の仕事をしていたことで、積極的になれるのだった。私は少し静かな感じで「あのー。あそこのおじいさん、何してるんですか?」マスターは不思議そうな顔をして「お客さん、知らないみたいですね!あの方はこの辺じゃ有名な占いの先生ですよ。」わたしは驚いて「えー。そうなんですか?」最近妙に、占いに縁がある。そんな話をしていた時突然、私に気づいたおじいさんが、私に指をさし「あんた、そこのお嬢さん!」私は急に言われたので慌てて「はい、私?」おじいさんは自信ありげに、手入れされている白い短いひげを、なでながら「あんたしかいないだろうが。こっちにおいで。」次回に続く。