後輩の竜馬から親しい人の行方が分からないという連絡が入り、それから始まった事件だった。辞めたホテルのマネージャで鈴木という名の男性だ。私の直属の上司でもあった人で、妻と子供の一人がいる40才代の人物で、親しく家族との付き合いをしていた。私が辞めた後も、竜馬はずいぶんお世話になったり、交流が続いていたらしい。私たち二人ともお互い何も出来なくて、心配するだけの日々が続いたのだった。それから数日後、竜馬から新たな情報が入り以外な事が分かってくる。私は竜馬と力を合わせて、鈴木の足取りを探る事を決心する。まず、占いと直感とで、捜索を開始するしかないと強く思ったのだ。後日に分かるのだが、この失そう事件は、単なる行方不明事件などと簡単な事ではなく、我々の想像もつかないほどの大きな謎が隠されていたのだ。誰も知らない鈴木の闇の部分が見えてきて恐ろしくなってくる二人。それぞれ、恐怖のため、一度はあきらめようと思った。警察に任せようと竜馬は思い、眉をひそめながら「アキ先輩、僕、恐ろしくなりました。もうこれ以上、立ち入るのはやめた方がいいんじゃないでしょうか?」正義感の強いアキはうつむいて「そうね、どうしようか?でもこのまま知らないふりは、私にはできんけんね~。」二人ともしばらく、沈黙が続いた。だが、もう前に進むしかない事を知り、勇気を絞り出す事にしたのだ。最初、私たちは何をしてよいかわからないので途方にくれていた。そのうち、もっとも信頼できる、占いの師匠を頼りにすることを私は思いついた。色々な迷いを占ってもらうために喫茶店をたずねてみる。コーヒを飲んでいた師匠は気持ちよく応じてくれて、≪どのような結果になっても、冷静に対処するように≫とアドバイスがあった。それで、ますます私たちは身震いしたのだ。まず、一番得意のタロット占いを始めてもらう。最初に開いたカードは「搭・タワー」「己のまいた種で災難が降りかかる」次のカードは「悪魔・デビル」「欲をかきすぎると自滅する」師匠からこの2枚のカードのヒントをもらう。まだ、意味が分からない。でも、良くない事が起きている位は私でも感じる。「もう、こわか~。」もう1回タロットで占ってもらった。3枚目のカードは「死・デス」「とらわれている暗示がある」と伝えられた。師匠は唸るだけで、これ以上何も教えてくれない。さすがの私も、これはまずいと震えてしまった。結局、師匠の占いでは、「鈴木は何かの金銭トラブルで、欲をだしすぎて、それが原因でどこかにとらわれている。」と自信をもって断言したのだ。次回に続く