竜馬の推理により、最悪の道に進みだした二人は、行動をおこす事にした。まず、今の状況の中で大切な事は何か?何か見落としてはいないか?真剣に考えてみた。その決果、残された時間がすでに、少ないという現実があり、アキと竜馬の気持ちを焦らせてしまうだけだった。鈴木の命の危険におびえながら、竜馬が「アキ先輩、今は、落ち着いて考え、判断して、行動しないと大変な事になりますよ。」と独り言のように、又は、自分に言い聞かせるように、つぶやくだけだった。アキも「うん、そうやね。でも、どうしたらよかと~。私、本当に、こわか~とよ。いい考え浮かばんけんね。」博多弁の連続。アキは緊張すると、方言が丸出し状態になるのだ。今日は、夜もだいぶん更けてきたので、とりあえず、解散することにした。今は、頭の回転が鈍くなり、何も考えられない状態なのだ。みんなは、喫茶店のオーナーに別れを告げて、それぞれの家に帰る事にした。又、明日、連絡を取り合うと約束を済ませて、各々に暗闇に消えていった。アキは家に戻っても、なんとなく、他の事をする気持ちにもなれず、事件の事が頭から離れなかった。結局、眠れないまま、朝を迎えてしまい、頭だけは妙に冴えている。失業中だから、仕事に支障はないので、よいものの、このままじゃ、体にも悪いので、早く解決をしてほしいと、つい、願ってしまうばかりだ。寝不足のままだけど、さっそく翌日の夕方に同じメンバー仲間と落ち合うことにした。喫茶店のマスターにも、了解を得て、貸し切り状態で、店を使わせてもらう事にしたのだ。師匠・マスター・竜馬・アキがコーヒを飲みながらいつもの席に着いた。まず、初めから、順序だてて、説明をすることになり、竜馬が今までのいきさつを丁寧に話しだした。補足をアキがした。師匠は自慢の短いひげを撫でているだけで、たまにうなずきながら、静かに耳を澄ましている様子がうかがえる。マスターはコーヒーのおかわりをみんなに勧めながら、しっかりと話は聞いている様子だった。竜馬とアキの話がほぼ終わり、二人はほっと一息ついて、おいしそうな香りのする、二杯目のコーヒーカップに手を伸ばそうとした。その時、一番最初に口を開いたのは、師匠だった。次回に続く