小説 タロット占い師 アキの冒険 1-9

一体どうなっているのだろうか?何が何だか分からなくなってしまった。アキは途方に暮れて、師匠に相談することにした。夕方頃に竜馬と、いつもの喫茶店で落ち合う事にした。いつも、マスターが入れてくれるコーヒーが無性に飲みたくなる。アキは自宅のソファーにかがみ込み、愛犬のチワワの頭を撫でながら「今は、心を整理して、マスターの所に行った方がいいんじゃなかとね。時間が許せる限り、一人でもういっぺん、考えてみるけんねえ。まず、メールの内容やけど、これでどういう事が分かるんやろうか?」心で考える時はやはり博多弁です。メールの内容はこうだった。実は行方不明になる前に鈴木は、家族に伝言を残していた。その伝言は家の机の引き出しに大事に保管されていたのだ。内容としては、まず、《数日間、留守にするが、自分の事は心配しないでほしい。近い将来に高額な現金が入るので、病気の治療の事はもう大丈夫だ。もし、何かあれば、すぐに連絡をするから。》ざーとこの様な内容だった。これだと、自分でどこかに出向いたという事になる。そしてやはり、一番気になるのは、《高額な現金》の箇所だった。《何かあれば、すぐに連絡をするから》鈴木からはまだ連絡がない。すでに、みんなが心配していた状況になっているのだろうか?それに、一番にしなければならないのは、代議士の近藤正夫氏に会いに行くことだろうか?相手は、権力を盾にして会ってくれない可能性もあるだろう?でも、やってみる価値はあるはずだ。ダメで元々だけど、やるしかない。ムラムラと闘志が湧き、いつものアキに戻ってきた感じがする。《私は行動力だけは、あるつもりなので、強気に前へGO!》このモチベーションを持続しながら、美味しいコーヒーが待っている喫茶店へ向かった。まだ、竜馬は来ていない。待ちきれないアキは、コーヒーを先に注文する事にした。その時だけはいやな事を忘れられるだろうか?アキは香しいコーヒーを幸せそうに一口すすってみた。《美味しい》 幸せの癒しオーラが体中に一杯になり、ボ~としていた時に、竜馬が店の扉を開いた。次回に続く