近藤代議士は謎の微笑みを浮かべながら「失礼ですが、お嬢さんの言われている事は、私には何の事だかさっぱり分かりません。何か勘違いされているのではありませんか?。」アキはすぐに「そんなはずはないでしょう。私が女だと思って、バカにしているのですか?ここに証拠のメモ紙もあります。」代議士は「ま~ま~。そう興奮しないでください。それでは、念のために秘書にも聞いてみますので、お待ちください。」近藤氏は一人の秘書を呼びつけ、数分間、何かヒソヒソトと話をしていた。そして、体を向き直してから真顔で「お嬢さん、イヤ。アキさんだったね。今確認したら、何も知らないということでしたよ。聞いたこともないらしいです。」アキはすぐに疑いの表情をした。「本当ですか?本当に何も分からないのですか?」近藤氏は「お役に立てなくて申し訳ないね。それでは、私は今から用があるので失礼しますよ。それから、もし警察の方が来られても同じ事を伝えるつもりです。じゃあ。失礼。君、君、このお二人をお送りしてくれ。」秘書に指図をして、近藤代議士は部屋から出ていった。アキはその時、茫然としていた。何ひとつ言い返すことができずに椅子に座ったままの状態で【私の負けだ。】心の底から湧き上がる敗北を感じていた。さすがにあの代議士は一筋縄ではいかないだろうとも思った。横にいた竜馬は、相変わらず、変な顔色のままで、テーブルの上に置かれたお茶器を見つめているだけだった。だがアキは、こうも考えた。【これで、誰かが何かをするために動き出す可能性がある。少しは追い詰めたかもしれない。】そう信じて、張り込みをしてみることを決意した。【ア~。こうなったら、やけくそだ~。】アキは竜馬の服の袖をひっぱりながら、「もう、行くよ。」竜馬は我に返り導かれるままに歩いた。建物を出るとすぐに「もう~。アキ先輩、ダメですよ。生きた心地がしなかったよ。無鉄砲なんだから。」アキはその言葉を無視して、強い心で「竜馬、今からここで張り込みをするよ。」竜馬は「え~。もう勘弁してください。」 次回に続く。