小説 タロット占い師 アキの冒険 1-2

プライベートでは、愛犬チコと仲良し同居中。悩みの種の仕事は、ただいま、調子が悪い。一生懸命、頑張ってみても、うまくいかない。それに少々気力にも欠けている。つまりやる気が出ないのだ。そんな訳で、私は夢見るような寿退職を、強く強く望むようになった。誰もが羨む結婚に何がなんでも逃げる事にした。そんな毎日を送っている時、交際1年目の彼氏から突然の別れ話。私は「どうしたとかいな?わたしのどこがいかんとかいな?」さっぱり訳が分からない。でも落ち着いて考えてみると、最近のふたりは空回りばかりで、うまくいってない気がする。とほほ。反省しても、もう遅い。どうしていつもこうなのか?数少ない元彼達も、だいたい同じ感じでダメになっている。その時位から、仕事にも失敗が続きだした。私のメンタル問題ありです。打たれ弱い。仕事もこのままだと失くす可能性があるよね。今、気楽に思っていいのだろうか。いや違う。今回だけは違う感じ。妙にいやな気配がする。最悪の場合、失業?いつも恐ろしい予感は静かに当たる。ますます、マイナス思考。悪い妄想癖で段々と弱い心に支配され、突然落ち込んでしまう。なので、夜になり、一人で行きつけの店に酒を飲みに行った。ヤケ酒になるみたい。やっとの思いで居酒屋を出る事ができたが自分でもわかるほど悪酔いしている。トボトボ、ふらついて夜の街を歩いていたその時、遠くに怪しげな灯りを見つけた。吸い込まれるように、1.2.3歩進んだ。その時どこからか、しわがれた声がしたので心臓がびっくり。誰なの?実は奇妙な姿のおばあさんに呼び止められたのだった。「そこのお嬢さん。何か悩みでもありそうだね。見てあげよう。手を出してごらん」それは紫色の布で全身を覆い隠した、粗末な机だけの占い師だった。終電にも間に合わず、色々と途方に暮れていた私は、意志とは反対に自然に両手を差し出していた。「あの~。私、お金ないんですけれど。」おばあさんが「いくらあるの?」私は「家に帰るタクシー代もない位です。本当にほんの少しだけです。」すると、おばあさんも「いくらでもいいよ。よーく見せてね。うむうむ。あら、あんた、もうすぐ、占い師になるよ。本当に!」と振り絞るような声で伝える。「え~。そんなことないけんね~。ありえんけんね~。」私は心の中で叫んでいた。次回に続く。